込み上げる怒りと脂溶性ビタミン bile and vita

(前半自粛)

攻撃されたら怒りによって自己防衛するのは本能的な反応だけど、これはまずい。怒っている人は、既に自分を統治する能力を失っている。「ついカッとなる」状態は、外的刺激に反射して動いている単細胞生物と何ら本質的に変わりはなく、自分を統治する戦いにおいて「怒り」という反乱因子に敗北している。

怒りにコントロールされてはいけない。怒りをコントロールする必要がある。
というわけで、速攻ジムに行く。まずエアロバイクのインターバルトレーニング。10分ほど心拍数目標値*1まで負荷をあげる。

10分の休憩の後、続いてベンチプレスで上半身の大きな筋肉に負荷をかける。
筋肉を肥大させたいので、8回で限界がくる重さを3セット。セット間の休憩は丁度1分。
続いてフライで大胸筋、ハイプーリーで広背筋・僧坊筋・大円筋、腹筋、背筋と続き、ダンベルで上腕へと進み、大きな筋肉から順に小さな筋肉へと移っていく。

過負荷をかけないと筋繊維の破壊と、それに続く超回復を起こす事はできないので、かなりの力をかける。怒りのエネルギーをこのプロセスに活用するのは実に有効で、効果的な運動ができる。運動に全意識を集中させて、1セット終えると、怒りのエネルギーはとうに尽き果てている。まああの人が個人攻撃をした原因は僕が作ったんだよね、等と反省が始まったりする。

水分をとったあと、入浴し、ストレッチなどしていると、今度はおなかがすいてたまらなくなる。今日は桜木町近くの中華料理屋の碧華楼に行く事にする。ホイコーロを味わいながら、キャベツのビタミンKは脂溶性だから、この豚肉の油分に溶けて吸収されるのだろうかなどと考える。だとすれば、怒りは何に溶ければうまく吸収されるのか。この辺りの思索に耽っている時はすでに自分が怒っていた事は忘れている。

自分が怒っている事を自覚した瞬間は、既に自分を統治する戦いにおいて、自由意志が怒りに負けていると考えて良い。一度感じてしまった怒りは多くの場合、思弁によって消失させる事はできないし、運の悪い事に自己正当化を始めると、その怒りはますます燃え広がり、怒りが意識をコントロールする。
肝心なのは、意識が怒りをコントロールする事である。できれば、体を動かしたり、絵で心境を表現したり、心に怒りがあるチャンスをフル活用し、怒りを溶かしてプラスの何かに使えるエネルギーに変換してしまうルーチンを持つとよい。僕にとっては、それは油が脂溶性ビタミンを溶かすようなイメージを彷彿させる。