成功者の告白 5年鑑の企業ノウハウを3時間で学べる物語

成功者の告白 5年鑑の企業ノウハウを3時間で学べる物語
神田昌典 講談社

来年同じ会社に来る友人から薦められて読んだ本。
ふんふん成る程〜と感心しながら読んだ。

神田昌典はエモーショナルマーケティングの分野でカリスマ的な人気者、ということだが、
スタートアップ企業が抱え易い組織的課題と、
オーナー社長のwork family conflictに焦点を当てた小説だった。

基本的な仮説は以下の通り。

A) 組織のお話

スタートアップ企業は、
展開する事業の市場の成熟度によって
1)導入期、2)成長期、3)成熟期、4)衰退期の4つのステージを経験する。
それぞれのステージで、要となる人材が異なる。
1) 導入期
起業家が要。
ビジネスを創造する力を備えた人。アイデアマン。
ソニーでは井深大、ホンダでは本田宗一郎
桃太郎の話では桃太郎。

2) 成長期
実務家が要。
起業家が出したアイデアを実現する人。
商品の仕入れ、配送システム、顧客対応などの仕組みを作る。
ソニーでは森田昭夫、ホンダでは藤澤武夫
桃太郎では犬。桃太郎に忠実に尽くすから。

3) 成熟期
管理者が要。
一般的には経理部門の人。
ルールを決めたり、日常業務をルーチン的に行う人。
桃太郎ではサル。知恵の象徴ということで。

4) 衰退期
(潤滑油的な)まとめ役が要。
グループ全体を、メンタルな面もケアしながらまとめる人。

それぞれの役割をになう人は、互いに立場が異なり、しばしば反発する。
どの役割も、それぞれ企業の存続にとって重要であるため
反発する人物間で、極端にパワーバランスが悪かったり、
両方の力とも強過ぎたりすると、組織は衰退・崩壊する。

B) 仕事と家庭のバランスのお話

1) 導入期
仕事は大変。でも家庭は円満。

2) 成長期
仕事は好調。家庭は歪みが出る。子供に問題が現れることが多い。

3) 成熟期
仕事は好調だが、家庭は問題を抱える。

4) 衰退期
幸運なケースでは、仕事と家庭のバランスが回復し、
良い関係が再び築かれる。
悪いケースでは家庭が崩壊する。

ストーリーが作者の主張に都合が良過ぎる感は否めないものの
(というか、主張を展開する素材としての具体例としての物語だから当然)、
大枠で面白い仮説を提示していた。

主張の内容が未整理 + データが不十分 なことも、
神崎という登場人物を作り、主人公のタクがその話を納得するという形で
落ち着きをよくしている。
体系化されていないと批判するのは実に簡単だが、
神田氏の経験則を説明する本としては、十分よく出来ているように思う。
本格的な組織科学にするためには、今後相応の検証が必要となるが、
組織についての彼が経験したことのイメージはよく伝わってきた。
というわけでUP。

成功者の告白 5年間の起業ノウハウを3時間で学べる物語
成功者の告白 5年間の起業ノウハウを3時間で学べる物語神田 昌典

講談社 2004-01-27
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