Die Hard4

友人二人が対照的な評価をしていたので、観てみる事に。
感想は あんまりー でした☆

あらすじを書くと、マクレーン警部というしがない警察官が、たまたまサイバーテロ容疑のかかった学生の近くで非番をしていただけで、全米を震撼させるサイバーテロの組織と対決するはめになる、というもの。

元々1、2、3と続く人気シリーズで、たまたまテロ現場のビルに居合わせて一人戦ったりと、本人はいやいやなんだけど、やってやらあ!とキレて危機的状況を一人で打開する、みたいなところに爽快感があったものだけど、今回は始めから肝が据わりすぎというか、ヒーローってのはこういうもんだ、みたいな語りが入ってしまったりと、今までの爽快感の源泉が失われている感じ。原作者としては、同じテーマでヒット作のシリーズを出さないといけない苦悩の結果として、今までの修羅場をくぐり抜けて変わった主人公を描きたかったのだろうね。

で、制作者の意図はどうあれ、要はそれがエンターテイメントとして面白いか、という話。

まずテーマ。社会を支えるインフラの中枢がコンピュータによって稼働するようになったり、情報技術がもたらす影響が大きくなったりした結果、その脆弱性への攻撃がなされた場合の社会的リスクは大きい、みたいなテーマは何も目新しいものではない。焼き直しだね。古くは2001年宇宙の旅で描かれたスーパーコンピュータHAL9000の反乱。ザ・インターネットで描かれた、自分が社会に存在する証拠となるデータが消去されるリスク。パトレイバーの映画版で描かれた、通信網の破壊と橋の破壊、などなど。パトレイバーの描き方は特にうまかった。
娘から父親に対する尊敬の復活、ハッカーと娘の恋愛模様なども描かれたりするけど、どれもテーマとしてはサブにすぎず、主要テーマとの絡め方も稚拙。
ハイテクテロリストvsローテクマクレーンという構図も強調しえたと思うが、活かしきれておらず。

次にストーリー性。全体は平坦で、ディテールはツメが甘い、とバッサリ言ってみる。要は、事件に巻き込まれた警官が、サイバーテロ組織をやっつける、という流れなんだけど、ずーっとアクションしているから、途中でなんの戦いか分からなくなる。ディテールについて言えば、サイバーテロがうまくいきすぎたり、ハッカー仲間が唐突にでてきたり、モバイル端末でどんなシステムにもUSBケーブルをつないで侵入できたり(笑)、パソコンマニアが途中から銃撃戦参加者になったり。ありえねー。

唯一楽しめるのは表現のうまさ。爆破の映像も、音も、迫力ありました。
でも、カメラワークは手振れが多くてちょっと観ていて疲れた。また、中途半端なズームが多すぎて、状況がよく伝わらないl部分が多く、もったいなかった。もっと視点ごとに動かしたり、パンでとった絵を挿入するなどしたら分かり易くなるのではと思う。この点で上手なのはスターリングラードというソ連軍スナイパー vs ドイツ軍スナイパーの戦いを描いた映画。スコープで観た視点とか、相手がどこにいるか分からない焦燥感などの表現をカメラ映像だけで伝えるのはすごいことだね。

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