ドリームガールズ dream girls

ドリームガールズ

ハリウッドのミュージカル映画。観たんだけど、後味の悪い作品だった。

ドリームガールズ スペシャル・コレクターズ・エディションドリームガールズ スペシャル・コレクターズ・エディション
ジェイミー・フォックス ビル・コンドン ビヨンセ・ノウルズ

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ネタバレ注意。

シカゴに住む友人3人組、エフィー(ジェニファー・ハドソン)、ディーナ(ビヨンセ・ノウルズ)、ローレル(アニカ・ノニ・ローズ)はドリーメッツというボーカルトリオを結成し、コンテストに出場するため、憧れの街NYへ。そこで実力を認められた彼女たちは、既に人気を博していたサンダー(エディ・マーフィー)のバック・コーラスとしてデビューする。彼女たちをスカウトした カーティスはドリーメッツをR&Bグループからポップスグループへと転身・リードボーカルも歌唱力があるエフィーから、ルックス重視でディーナに交代。この策が当り彼女達の人気は上がっていくのだが、というストーリー。

前半の歌はとてもよかった。特に主役のエフィー(ジェニファー・ハドソン)の歌唱力にはすばらしい。鳥肌もの。エディーマーフィも出演していて結構いい味を出していたけど、やっぱりエフィーはすごかった。実はジェニファー・ハドソンはこれがデビュー作。すごい!!
あと、ビヨンセ・ノウルズの美しさは息を飲んだね。クールビューティー。損な役回りだったけどね。
あとは衣装。1970年代のアメリカという時代設定なので、当時の流行 (今から見返せばダサいファッション) のテイストを取り入れながらも、現代的な美しさがある。お見事。

一方、ポップスのグループに転身してからのストーリーや音楽は微妙だったなー。ミュージカル映画なのに音楽シーンがだめ。歌唱力じゃなくてルックス重視で再結成した、というストーリー展開上、その新しいグループでの歌があまりにも素晴らしいのはまずいという判断だったと思うのだけど、エフィーじゃなくてディーナがメインボーカルの時のドリームガールズの歌は全くもって平凡。しかもその時期のシーンや歌がやたらと長い!!

自分の求めていた音楽ではないといって出て行きそうになるエフィーを引き止める時に、ミュージカルシーンが挿入される場面があった。引き止める側は音楽プロデューサーのカーティスが中心で「family」という歌を歌うんだけど、この歌なんてもう最悪だった。歌詞が上滑り。

歌詞自体はとても素晴らしくて、<私たちは家族。大きな木のように枝を空高く広げる。もう単に「あなた」と「わたし」だけじゃないんだ。「家族」となって、自由へと向かっていこう 〜 >みたいな1970年代の公民権運動をしている人達には特に響く内容で、メロディーもいいんだけど、この歌が、本当のSoulに溢れるR&Bがしたいと言って出て行くエフィーに対して、突き詰めると Soulとか音楽性よりもカネの方が大事、という主張のプロデューサー側が歌うのでドン引き。いい歌である分、とても残念だった。

ミュージカル映画である以上、「だめな歌」という位置づけのシーンを長く取りすぎるのは頂けない。ここの部分の尺を短くして、最後にドリーメッツが再び一つになってから以降のストーリーに尺をシフトすべきだった。

『シカゴ』(2002)の脚本家ビル=コンドンが書いた作品だったので、だめな時代の尺を長くとることのマイナスは予見できたと思うんだけど。残念。