CM: 大正製薬 ALSE

思わず買っちゃった CMシリーズ。
同期の一人(女性)がALFE (アルフェ) 大正製薬 のCMを挙げてた。

小西真奈美がでてるCM。
「お茶しに行かなきゃいけないし、仕事ビシッと片づけたいし、お買い物しなくちゃいけないし。
女の子は忙しいんですぅ。 ふぅ。」
ナレーション: アルフェが新しくなりました。
「凛と元気。」
ナレーション:大正製薬です。

っていうのなんだけどさ。

CMを通じて伝えたかったこと(勝手に想像):
「ALFEは、あなたのための栄養ドリンクです。」
ひねり(勝手に解釈):
「ALFEは、友達づきあいに、仕事に、買い物にと、色々忙しくて大変なあなたを凛と元気にします。」

このCMのpurchase driverは何か。 どの要素が買いたいと思わせるのか?
見る人ごとにクリックされるポイントは違うだろうけど、マスが影響されるのは、前半の消費者インサイトだと思う。(消費者インサイトってのは、「そうそう! そうなんよ!」って消費者に言ってもらえる洞察のことね。)
このCMには違うバージョンもある。「ボディに磨きもかけたいし、売上いっぱい上げたいし、確かな幸せ見つけたいし。女の子は忙しいんですぅ。」とかね。やっぱりいいインサイトをついている。映像とあわせて、思わず「そうなんだよねー」と言ってしまうらしい。
なんでこんなインサイトが作れたのか? マーケティングの観点から答えれば、この商品の対象セグメントが既存ブランドと比べてはっきりと絞り込みができていたから(結婚前の、働く女性で、エネルギーを補充するニーズがある人)。他の栄養ドリンクって男性向けがほとんどだからね。

話題はずれるけど、それだけターゲットをはっきり絞り込むと、ターゲットの母数も小さくなる傾向にある。例えば男性でALFEのみたいって人はほとんどいないでしょ。栄養ドリンクのVolume Zoneは男性だから、これは大正製薬にとってみればいい話ではない。それでも、彼らにとってみれば、ターゲットの母数は小さいけれども、その分深くメッセージが届くと判断したから、ここまで深いインサイトがつけたのでは。しかも、洗剤市場規模に比べて競合も少なかったんじゃない? 想像ですが。

このCMのひねりパターンは、強いインサイトで引っ張るパターン (インサイトパターンとでも呼ぼうか)。ターゲットとなる消費者が、既存ブランドと比べて差別化がしっかりできていればいるほど、このひねりは強い効果を発揮する傾向にある。インサイトパターンのCMでセンスが必要なのは、1)インサイト自体と、2)そのインサイトと便益とのうまいつなぎ。
ALFEでは1) は言うに及ばず上手いよね。2)はどうなんだろ。色々やることがあって大変なら、南の島でエステしながらゆっくりしようっていうのもつながる気はするけど。。栄養ドリンクに対して超どまんなかにつながるインサイトじゃないから、そこが改善ポイントかもね。忙しくて十分栄養をとるひまがない→だから栄養ドリンクでクイックに、というならつながるけど。このCMの3つの場面からだと、やることがたくさんある、というのは伝わるけど栄養とる時間もない、という印象は伝わらない(と思う)からなー。

このCMからわかる通り、ターゲットを説得するに当たって、機能的便益を印象づけることだけが全てではない。もちろんあった方がいいんだけどさ。機能的便益なんて一瞬しか言わなくても、ALFEのこのCMくらいまで購入意欲を刺激することならできる。インサイトが強くて、「自分のことを分かってくれてるブランドだな」と思われれば、それで十分(なこともある)。強いインサイトが購入意欲を刺激する好例。いいCMでした。

まとめ

このALSEのCMは、「ALFEは、あなたのための栄養ドリンクです。」というメッセージを、インサイトパターンのひねりを用いて効果的にコミュニケートした。特に、女性をターゲットとして、他の男性用栄養ドリンクブランドに対する明確な差別化を行ったことにより、強力な消費者インサイトを導入できたことが高い効果をもたらした。しかし一方で、取り上げたインサイトとALSEを購入する理由とを、より直接的にリンクさせることに改善の余地が見受けられた。