CM: SONY Walkman

会社で「思わず買っちゃったCM」というテーマでランチ。先輩から、Sony WalkmanのCMの話がでた。
サルがウォークマンで音楽を聴きながら、じっと目を閉じているCM。

ナレーション: 「音が進化した。人はどうですか。新世代 WALKMAN 誕生」
このCMに感動して、すぐにSONYWalkmanを買ったとか。いいCMだよね。コレ。

売れるCMって観点から思ったこと:
CMを通じて伝えたかったこと(勝手に想像):
SONY Walkmanは進化したので、素晴らしい高音質が再現できるようになりました」
ひねり(勝手に解釈):
「(SONY Walkmanは素晴らしい高音質が再現できるので、)芸術を知らないサルでも思わずうっとりしてしまう。」<製品・サービスの便益があまりにも素晴らしいから、その便益をもっとも感じにくい状態・対象であっても、便益を実感できてしまう。> っていうのはひねりの成功パターンの一つ(Stretch test パターンとでも呼びましょうか)。

Stretch TestパターンのCMでセンスが必要なのは2点。1) その便益をもっとも感じにくい状態・対象になにを持ってくるか。 2) その便益を実感したことを、どうやって表すか。

ここでは1) は サルですよ。サル。全然音楽に感動しそうにないじゃん。加えて、進化っていうキーワードにも想起がいくし、素晴らしいと思う。よく思いついたよね。
あとは2)もよかった。(便益が素晴らしい結果、)サルがうっとり悦に入ってしまうっていうことだと思うのだけど、便益を実感していることがストレートに伝わってくるのは前提として、サルが悦に入る絵がいい。惹きつけられちゃいます。

まとめると、

このSONY WalkmanのCMは、「SONY Walkmanは進化したので、素晴らしい高音質が再現できるようになった」というメッセージを、Stretch Testパターンのひねりを用いて効果的にコミュニケートした。特に、1) いくら音楽が素晴らしくても感動しそうにないサルを起用したことと、2) サルが思わず音楽にうっとりしてしまうことで高音質を表現したことが見る人を強く惹きつけ、高い効果をもたらした。

やるじゃんSONY + 東急エージェンシーインターナショナル+仲畑広告制作所ってことで。


ちなみに、ファンの人は知っている方が多いと思うけれど、「デジタル・ドリーム―ソニーデザインセンターのすべて 」は50年のSONYプロダクトデザインの歴史を記した名著。
100以上の製品 (含:製品化されていないプロダクト) を取り上げ、当時の担当デザイナー達に、そのデザインが生まれた訳や、デザインの経緯などを詳しく取り上げています。

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