リーダーシップ(02) 〜リーダーの振る舞い〜

 リーダーの機能で最も重要なものは、集団の社会環境・雰囲気を整えるというものである。Lippitt and White(1943)らは学生を対象にそれぞれスタイルの異なるリーダーの下で作業させる実験を行い、集団の作業効率においても、リーダーへの好意においても、民主的なリーダーが一貫して最も高い成果を出すことを示した。
 Bales(1950)は異なった観点からリーダーの機能を論じている。彼はIPAを使用した組織分析を行い、能率を上げて課題達成能率を高める機能と、メンバーの気持ちに配慮する社会感情的な機能の存在を指摘し、リーダーの機能として前者に重点を置いた。また、両機能を同時に一人で達成することは困難であることを示唆した。同様にオハイオ州リーダーシップ研究でも、リーダーに構造を作り出す機能と部下に配慮する機能が求められていることを、軍隊と企業を対象とした調査で発見した。因子解析の結果から、ここでは両機能は同時に達成出来るものだとされ、これは後のSorrentino and Field(1974)の調査でほぼ裏付けられた。異文化比較の研究においても、機能の発揮の仕方に違いはあるが、文化を超えて両機能の存在が確認されている(Smith et al., 1989)。
 近年カリスマについての研究が発展しつつある。カリスマについての理論には諸説があるが、カリスマ的リーダーがメンバーにある種の目標や、やる気を与えるタイプのリーダーであることが指摘されている。Bass(1990)は集団が変革を迫られる場合に、特にカリスマ的リーダーが力を発揮することを指摘している。ただ、カリスマ性自体の定義・原因の特定は今までの研究からはまだ分かっていない。