リーダーシップ(01) 〜個人特性か状況の所産か〜

 初期のリーダーシップ理論は特性論と呼ばれるもので、ある人がリーダーたるのは、その人に類稀な才覚があるからである、というものであった。確かに知能・自信・社交性・目標指向などの特性が確認されたが、それらは概して微弱な違いにすぎず、特性論には限界があることがStogdill(1974)によって主張された。
 特性論の対極をなすのが機能主義的な理論である。この理論によれば、特定の状況下で最も集団の目標達成能力を高める者がリーダーになる(例えばBales, 1950)。これはSherifら(1961)の少年たちのサマーキャンプ研究、高校生を対象に、必要とされる課題遂行能力が異なればリーダーも異なることを示したCarter and Nixon(1949)の研究とも整合的である。