ゲームハードの競争戦略 Xbox日本のCM アメリカのPS2のCM

昨日のXboxの話に引き続き・・・

日本のCMはTokioがでていたやつだったっけ。全員で 「do do」と歌っているCM。
あんまり記憶に残ってないなーと思ってたら、Youtubeで発見。

http://www.youtube.com/watch?v=-VlYPFoIKGs

うーん。特にひっかかってくるポイントがないなぁ。叩いた場所に「X」が見えるのは、Xboxの「X」のことなんだろうけど、「それで?」 という感じ。
人がどんどん集まってくるのはアメリカでオンエアされたPlay StationのCM
(コレ↓)のパロディ。

http://www.youtube.com/watch?v=gwg92wiHcoQ

というか微妙な縮小パクリ(笑)? 30秒vs60秒なので直接比較はできないけど、アメリPS2のCMの方がわくわく感の演出がずっとうまい。撮り方の質も高い。これだけの映像なのに、CGは殆ど使ってないそうだ。
しかも、これはPRとか他の情報と組み合わせないと分かりにくいけど、当時はまだ黎明期で話題だった「オンラインで世界中の人と対戦できます」という機能も説明しているし。 オンエアされたCMを見て「Gosh! I can be a champion!」とか思った人もいるんじゃないかな。TokioのCMは人がTokioに集まってきているだけだから、ユーザー間の対戦という印象じゃなくて、むしろXboxを楽しんでいる人をみんなが追いかけるという印象だ。

さて、Xbox
昨日のCMでも上のTokioのCMでも、ゲームハードの機能の話はあまり出てこないけれど、XboxはHDD レコーダーもDVDも再生できる機能を搭載して、オプション付きで5万円前後。いいよね。これ。普通10万円以上だし。

ゲームハードの競争戦略って言うと、以前はいかにキラータイトルとなるゲームソフトを増やしてハードとしてデファクトスタンダード化するか、というのが焦点になっていた。
セガサターン3DOPC-FXNintendo 64とか、あのあたり時代の話ね。任天堂が自社(OR 自社コントロール下)で<少数精鋭ゲームソフト開発>に注力する一方、サードパーティをゲームソフト開発に積極活用するセガとかSonyの<ソフト数打ちゃあたる戦略>という対比が面白かった。ハード性能の限界(他のメディアを再生したり、ネットワーク接続するインフラが未整備だったり)もあって、ここではゲームの面白さが競争の焦点になっていた。

でも、ゲームハードの性能向上、特にゲームハードとしての機能と、他の家庭用エンターテイメントハードの機能を合体させることができるようになった。
Play StationあたりからDVDが再生できることや、XboxのようにHDD レコーダー搭載とか、ゲームハード自体の違う使い方を訴求することで、ゲームソフト以外の差別化があることが示されてきた。

それとは別の差別化が、インターフェースの洗練。
例えばNintendo 64のように振動パック(コントローラー自体がゲームの展開にあわせて震える)とか、Gameboy Advanceのような2種類の画面とタッチパネル、Wiiの体全体を動かすインターフェースなど。(個別ソフト対応だけなら、ガンコントローラーによるガンシューティングとか、ダンスダンスレボリューションのダンスパネルとかがあったけどね)。
インターフェースの洗練という流れの中では、任天堂の活躍が目立つ。そもそも十字キーを開発、普及させたのも任天堂だし、スーパーファミコンによってボタンの数を増やすイニシアチブをとったのも任天堂。そして極めつけがWiiの誰もが楽しめるインターフェース。商業的な成功は別にしても、やはりゲームの発展は常に任天堂がリードしてきたということか。うーむ。すごいね。

あとはネットワーク対応。
ゲームボーイポケモンのように同じハードをもつ複数のプレイヤー間での対戦とか、オンラインゲームのサーバーに参加して世界中の人とプレイできる、という話ね。これはネットワーク対応の中でも、他プレイヤーとの対戦やコミュニケーションという軸だ。
一方、同じネットワーク対応でも、Wiiバーチャルコンソールのように、他のゲームハードのために開発された一部のゲームソフトをダウンロードしてWii上でプレイできるようにする機能もある。これは他のプレイヤーとの関係の話ではなく、ゲームの機能拡張の軸。

CMの話から競争戦略の話に飛んでしまった。CMの話に戻そう。
ゲームハードの機能には、上に書いたような色々なものが組合わさっているので、複数のゲームハードの選択肢から一つの購入を決めるには、多くの情報が必要。30秒のCMで語ることのできるPortionはとても小さい。むしろ、ゲーム専門誌を初め、ゲームに興味を持っている媒体は多く、そっちの尺・入れ込める情報量がずっと多いから、ハードの詳しいスペックはCM以外で知る、という人の方が多い気がします。
とすると、TVCMの役割は、ゲームハード自体への興味を喚起しておいて、ゲーム雑誌を買ってもらったり、PRがでた時にその情報にかじりついてもらえるようにする事 = ティーザーCM的なものに限られるのかな。以前のエントリで取り上げたWiiは、ターゲット層を今までのプレイヤーじゃなかった人まで広げたという観点で例外的なCM。

ゲームハードの差別化ポイントが随分と移り変わっていて目が回るようだけど、ゲーム業界は進化が早くて面白いし、ハードのスペックやソフト、売上の時系列データも豊富なので、研究対象としてはとても楽しい業界だ。大学の頃経営ゼミで初めて自由研究で取り上げたのもゲーム業界だったのでした。あれからたった4年くらいしか経っていないのにゲーム業界は驚くほど変化している。おじいさんのような言い方で面はゆいね ^^; 自分も歳を取ったら、きっとどの業界も今のゲーム業界のように急速に展開するように見えるのでしょう。それもまた楽しみです。