5 ここはよく分からない。どういうことだろうか。公共投資の際に市場原理が働かない?公共財の使用の際に働かない? 高速道路を例にとれば、入るときに料金を支払うから、あまりにも高いと一般道路を使ったり、新幹線・飛行機を使ったりするから、ちゃんとワークしているように思えるが。。はて。未解決Box行き。


ベッカー (by 猪木武徳)
1930- アメリカ。

ベッカーの家族の理論、人的資本論も面白かった。
当時アメリカはケネディ・ジョンソン政権下で、貧困との戦いが重要な制作課題になっていた。技術革新に取り残された中高年、黒人、マイノリティーに教育と訓練によって良い雇用い機会を与えようとするプログラムへの理論的支柱が必要とされていた。にもかかわらず、当時の経済学では基本的に労働力や人口を外材的な変数と見なして、内省的に変化し得る余地を与えていなかった。
そのためベッカーは古典的なスミスやマーシャルの理論での人的要素を操作可能な変数として再定義し、操作可能な形に再定式化した。ベッカーは学校教育や企業訓練を、人間に対する投資行動、不確実な条件かで将来の収益を見込みながらコストを投下する行動と見なし、それが教育への需要や生産性・賃金構造にどのように影響するかを論じた。今日では彼の研究は労働経済学の主要財産になっている。

古典的な経済学から出発して、当時の政策的課題に対して有効な提言ができたと言う点ですばらしい。象牙の塔にいる人よりも、社会問題をがりがり解決できる学者の方がずっと魅力がある。


ノイマン (by 梅沢由典)
1903-57。ハンガリー生まれ。ナチスの迫害から逃れるために、1933にアメリカに亡命。

30歳でプリンストン高等研究所の最年少教授になった。この研究所にはアインシュタイン・ワイル・ゲーデルらもいた。ノイマンは初めは量子力学・数学・物理学を教えていたが、マンハッタン計画に参加し、原水爆の開発に従事した。ウランの爆縮によって核反応を臨界点に導く内爆発方式の可能性を指摘したのもノイマンだった。

原爆の開発にあたり、膨大な計算が必要とされ、ノイマン型計算機が開発された。この、プログラム内蔵型逐次処理方式の電子計算機はその後のコンピュータの原型となり、IBMが稼いでいる売り上げの半分はノイマンのものだとさえ言われる。

フランスのボーれるが書いたゲーム理論の論文の命題を、ノイマンが一般化し、2人ゼロサムゲームという概念にまとめ、それに「解」が存在することをミニマックス定理によって証明した。後にモルゲンシュテインと共著で「ゲーム理論と経済行動」を書き上げ、ゲーム理論を経済学の中核に確立した。

ゲーム理論の中心命題であるミニマックス定理は不動点定理を用いて証明された。この定理は後に拡張され、アローらによって競争モデルの均衡会の存在に用いられ、その後一般均衡の存在を証明する標準的定理となった。

経済学以外の貢献領域:
数学・動水力学・衝撃波・大砲の軌道計算・原水爆のデザイン・地球規模の天候予測・ゲーム理論・コンピュータ開発。
ノイマンの死後、アメリカ数学協会が追悼記年号を発行したが、1本の追悼論文では納まらず、束論・作用素作用素環・測度とエルゴート理論・量子力学ゲーム理論数理経済学・オートマータ理論の7分野で追悼論文が書かれた。

この人はマジで天才ですね。
結局今ここで使用しているPCも、彼が原爆を造るときに寄り道をして基礎付けをしたものだし、その点で彼の恩恵を被ってはいるのだけれど、やはりこの天才の頭脳が20余万人の命を奪った原爆の開発に向けられたのは、人類の不幸です。
学者は頭の使い方に、厳しい規律を持たねばならない。人類の発展を願って築き上げられてきた、前人達の遺産を使わせてもらっているのだし、今まで生きて学習を続けてこれたのも、Communityの支えがあってこそだろう。