決意 -理屈抜きな部分とロジックで積み上げる部分- 禁煙を例に。

今後○○していきたい! とか、おれはこんなふうになるぞ! とか、考えることがある。
頻度は違えど、誰しも決意したり、Visionを考えることはあるように思う。
それは将来の夢であってもいいし、ダイエットでもいいし、この会社に転職したいでもいいし、一過性のものでも永続性のあるものでもなんでもいいんだけどさ。
今回は禁煙を例にとってVisionの強さとか、決意の頑健性を決定づける要因について考えてみたい。

幼なじみ(野郎です。念のため。)と飲んでたら、禁煙したくてさー、という話になった。ちなみに僕は煙草の煙がちょ〜〜〜キライ。(−益−)ヒー

へー、なんで禁煙したいの?と聞くと、

「吸い終わったらむかむかして気持ち悪くなる。口がねちゃねちゃする。朝すっきり目覚められない。吸ってる時も罪悪感がある。もし将来家族をもったら、受動喫煙によって家族が受ける健康被害がある。例えば○○・・・」

うーん。なるほどね。さすがに詳しいね。つーかお前医者だしw。
でも、じゃあなんで今まで吸ってたの?

「吸うとリラックスできる。何物にも代えがたい気分転換ができる。」

そっかー。そうだよね。吸ってる人にとって、やっぱり煙草は他のもので代替できない心地よさがあるんだな。

なんて話をしながら思ったのだが。。決意とかVisionってさ、理屈抜きでこうなりたい!!、という(A)「ロジックを超えた部分」と、(B)「何らかの理由付けによって導き出されている部分」によって支えられて作られると思う。
(A)はそもそもその人の前提とか、美学とか、各効用に対する重み付けのウエイトの大きさとか。「なんでそうなの?」って訪ねられてもそれ以上さかのぼることができない根本。今回でいえば、「そもそも自分は爽快な気分でいたい。そもそも自分は罪悪感を感じたくない。そもそも自分は自分家族の健康を害したくない。」とか。「えー?なんで?」って言われても、それ以上理由を説明しようがない。
(B)は、(A)に基づいて算出された、効用を最大化するために取るべき態度、スタンスとか。複数の効用分野で、それぞれバランスよく効用を得るようにロジックで計算した結果の成果物。今回でいえば、「禁煙したい。なぜなら、"爽快感、罪悪感、自分の健康、家族の健康へのマイナス"が、"リラックス、気分転換できることというプラス"よりもでかいと思うから。」とか。

(A)が理屈抜きの前提、なのに対して、(B)はロジックで積み重ねた結果、と言える。さて、(A)と(B)どっちが大事なの?どちらが強固なVisoinを作るのに貢献してくれるのか?
両方ないとだめなはずだから、重要さを比較するのは無意味では?という問いはひとまず保留。強いVisionを作りたいと思った時に、何に気をつけたらいいかについて実際的な含意が出せれば、今日のところは結果オーライってことで。
・・・(A)だと思います。

(B)なんてさ、ただの計算に過ぎないわけよ。例えば、「煙草をすうとこういうプラスとこういうマイナスがあって、マイナスの方が多きから・・・」とかいう決意は、「それでもやっぱりこの1本だけーー、 ・・くぉの1本だけ ああーだめなんだけどもう あぁぁぁぁあぁ〜〜〜っっ!駄目なんだけどでもとまらないかもー!!・・・っ! (>△<)-y゜ すぱー 」という具合に、計算過程に用いられた効用分野のウエイト付けが変わるだけですぐに結論が変わってしまうと思う。("健康な人生"も大事だけど、今はこの1本だけ吸って"あの快感"がほしい、という具合にね。) 煙草をすいたい発作が納まって、ひとまず体が快感を欲している程度が納まると、とたんに他の分野の重要性(健康とか家族とかね)が相対的に増してきて、「もうすいません決意」みたいのが出てくるんだけど、その決意は煙草を吸いたい気持ちと、他の重要分野の危うい天秤の上に成り立っている。
いろんなトレードオフを含有する決意をする時に(つーか決意なんてみんなそうじゃん? 受験勉強する変わりにゲームできなくなったりさ。トレードオフなかったらそもそもはじめからその行為をしているから、決意なんてそもそもいらん)、
決意をする時に、そんなバランスの上で決意を下しても、また吸いたい気持ちが大きくなってきたらめっちゃ脆弱。
より堅固な決意をつくりたければ、(A)をしっかりさせることだと思います。
ロジックとかそんなんじゃなくて、とにかくもう煙草はイヤ! だれが何と言おうと、どんだけ爽快感が得られようと、理由抜きに吸いたくない!と言えるものが強いと思う。

うーん。ここまで明文化しちゃうと、書いててものすごーく当たり前になってしまうのだけど、
翻って、自分が掲げているVisionとか、こうするぞ、という決意って、どんなトレードオフがあるか分かっているか? そのVisionを達成しようとして犠牲にされるマイナスは、それがどんなに大きくてもその犠牲を厭わないか? と改めて自分に問いただしてみると、簡単に足場がふらつくことにも気づく。

「自分ははなんで○○がしたいのか?」と自問した時に、
(A)の答え「何故とか、何でじゃなく、とか関係なく、とにかくそれがいいんだよね。」 というか
(B)の答え「○○をすることで XXとYYとZZが得られて、これは○○をせずに他のことをした時と比較して・・」というか。
当然AとBの答えは、両方入り交じると思うけど、直感的にどっちが大きいか??
もし(B)の割合がおおいなーと感じたら、そもそも何がしたかったのか、立ち戻ると良いと思う。






男性の喫煙率はほぼ半分を切るくらい。48%。
どのポイントの調査でも、若い人の喫煙率の方が全体より高いんだね。
理由はなんでだろ。
1) 若いころに吸っていた人が禁煙に成功するので、次の年次の調査では煙草を吸う人の割合が減る。
2) 若いころに吸ってた人が早く死ぬので、次の年次の調査では煙草を吸う人の割合が減る。
両方かな。
喫煙者の50%くらいは禁煙しようと思ったことがある、らしいので、
20代の線と、男性平均の線の乖離が50ポイントもないところを見ると、みなさん大抵禁煙の決意が頓挫しているみたいですな。