座頭市

すげーかっこいい．
武の作品はこれが初めてだったからびっくりしたよ．こんなかっこいい作品を作る人だったんだね．
構図･カメラワークの美しさ．刃のゾクリとするほどの金属感．殺陣．見事だよ．
ラストのタップ，STOMPみたいな動作とビートの音楽&ダンスとかも楽しかった．

今までなんで時代劇はCGをこう使ってこなかったんだろう．この人マジ天才!?
･･･と，思いきや．視聴ターゲットが違うかもね．
東映の時代劇を見ている人･見てほしいと制作側が思っている対象はもうおじいさんおばあさんだからなぁ．
お決まりのパターンを安心して見たいのに，超斬新な手法とか，残虐な流血シーンをみせられるのはありえないもんね．

かといって，やはり武映画のすごさはかわらないんだが．
最後の見せ場(=主人公が黒幕の正体を見破って引導を渡すところ)に，タップダンスのフィナーレコール(っていうの?ミュージカルの最後で出演者全員がでてくるやつ)入れる発想とか，映画にコントっぽい笑いの見せ場を作ることとか．
コント何発も入れるのは，彼の芸人としてのバックグラウンドがいかんなく発揮されているよね．
映画の芸術性と，お笑いのエンターテイメント性のMix．Connecting the dotsでしょうか．

･･･
ところで座頭市の正体はなんなんだろう．
いろいろ背負って浪人になったんだろうね．しかもBlindの振りするなんて．
最後に「めくらの方が人の気持ちが分かる」って本人が言ってたのは，
自分が今まで人の気持ちが分からなかったという反省があったという事なんだろうか．

加えて，諸国を渡り歩いてきた姉妹の仇打ちの手助けをするあたり，
無関係のことで一銭にもならないのに身を危険にさらしてるのは
主人公をしてそうさせる何かが過去にあったのだろうね．
よく分かりません．

そういえば用心棒先生･服部．可哀相だったなぁ．
病気の妻を救いたくて(+主の前で浪人に負けて)稼ぎの良い用心棒になったけど，結局主人公と対決して殺されてしまった．
妻の自殺も救われねー感じです．
これって座頭市を正義の象徴にしてしまわないためのしかけなんだろうか?
服部が完全に悪者だったら映画はもう少し平坦だったはず．

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