普通の人々

普通の人々 (1980/米)
Ordinary People

良かった.人生は時々晴れのすぐ後に観たからか,二つの映画の違いが印象に残った.。

アメリカのやや裕福な家庭.夫は弁護士.妻は優雅な専業主婦.息子が二人いたが,兄はボートの事故で命を落としてしまう.それをきっかけとして家族内での不和が顕在化する.弟は自殺を図るが一命を取り留める.

普通の人々普通の人々
ドナルド・サザーランド ロバート・レッドフォード メリー・タイラー・ムーア

パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン 2005-03-25
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******以下ネタバレ注意*******

******以下ネタバレ注意*******

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ストーリーが進につれ,母の愛情は兄のみに向けられていたことが明らかになる.その兄の死で母親としての愛情,妻としての愛情はもはや無くなってしまう.ゆっくりと丁寧に一人一人の心理を描いていた.

息子は母親との諍いを超克しようとして歩み寄る姿勢を示すが,母親がそれに応じることができなかったのは残念.ただ,応じることが出来る人ではない必然性は十二分に描かれていた気がする(精神科医の,「母親の愛情に限界があるということを知れ」,という言葉や,母親自身の「自分もあなたも誰も彼も,自分本位にならないことなんて出来やしないわ.私はただそれを素直に表現しているだけよ」という言葉など).

この映画は極端かもしれないが,家族の中でも愛情の程度に差があることは,程度の差はあれ,どの家族にもあるのかもしれない.最終的に離婚のような状態になるのは切なかったが,あの父と子なら乗り越えられるような感覚が持てた.決してハッピーエンドとは言えないが,鑑賞後に納得感がある映画だった.

複数の旋律が何度も何度も同じ主題を奏でるパッヘルベルのカノンをBGMに使ったのもうまい.激動はなくとも変化を遂げていく家族は,僅かな変化を許しながら主題を繰り返すカノンそのものの様だ.

ロバート・レッドフォードの処女作.