政党認知

従来は自民党を「拒否政党」としていた都市部の浮動票層の政党認知について、
10月12日の投稿でのStef氏との議論を踏まえて仮説をbrush up。

こんな感じね。

kbefore.jpg kafter.jpg
before
小泉氏の就任以前に於ける、浮動票層の政党ごとのイメージプロット
after
小泉氏の就任以降に於ける、浮動票層の政党ごとのイメージプロット

上図では、小泉氏の存在が自民党のイメージを右上に引き上げて、
政党としてより高い効用を認められるようになっている。
新自民党の◆印から上にのびている矢印が、
小泉氏の党首就任によって自民党がより国益に資する政策を策定できるようになる度合いであり、
右側にのびている矢印が、
小泉氏の党首就任によって自民党が派閥を超えて政策を実行できる度合いである。
これらの矢印の合力が、
小泉氏への支持が自民党の支持に及ぼす影響、所謂「小泉効果」と捉えることができる。

議論の対象は前回同様、
小泉氏の就任以前に自民党を「拒否政党」と考えている浮動票層であるが、
小泉氏への支持が自民党への支持の上昇をもたらす条件について、
従来の第1(小泉氏の示すビジョンへの共感)、
第2(自民党を小泉氏が改革してくれる、という期待)条件に加え、
それらの共感と改革の期待を含めた自民党への評価が、
従来の支持政党への評価を超えた場合に、自民党への支持がもたらされると考える。

浮動票層の中にも政治について頻繁に考える層とそうでない層、
政治について知識が多い層とそうでない層など、様々な人がいると思うが、
浮動票層のセグメンテーションと分類については今後の課題とする。

各政党の政権担当能力についてはJGSS2000の調査がある。
「政権を担当する能力があるのはどの政党だと思いますか(MA)」という質問に対して、
39.2%が「自民党」と回答している。一方民主党は約1割にすぎない。

政権を担当する能力とは、
国益に資する政策を立案する能力がある」ことと、
しがらみや派閥と妥協することなく「国益に資する政策を実行する能力がある」ことに分けられると考えられる。
自民党には戦後50余年日本の政治を支えてきた実績があることから、
従来自民党を「拒否政党」と考えていた人の多くは、
自民党既得権益に縛られすぎており、国益に資する政策を実行することができない、
と考えていたのではないだろうか。
民主党のプロモーションにも、
自民党との差別化のための言説として「既得権益にとらわれない民主党」というメッセージがあった。
小泉氏の所信表明演説にも「既得権益の壁にひるまず」との言及があった。

これらを勘案するに、自民党を拒否政党と考えていた人の頭の中の、
政策策定能力と政策実現能力を政党ごとにプロットすると、
上図のように表現できるように思われる。
なお、点線は彼らにとっての無差別効用曲線を示す。
小泉効果とは、この場合、小泉氏の党首就任によって、
グラフ中の旧自民党の位置が右上(より望ましい位置)に移動する効果のことである。

移動後の新自民党の位置づけが、投票できる選択肢の内で最も望ましい位置づけに移動した場合、自民党への支持が生まれる。(但し、支持することができる政党は一つ、という条件が必要である。)