リーダーシップ(03)〜リーダーシップのスタイルと状況の相互作用〜

 Fiedler(1965)は課題遂行機能・配慮機能によるリーダーシップの説明に、状況との即応性、つまり状況がリーダーにとって好ましい度合いを付け加えた分析を行った。彼はLPC尺度(Least Preferred Co-workerをどれほど好意的に評価するか。高いほど配慮機能が強いと評価。)によりリーダーの特性を測定し、メンバーの雰囲気・仕事の容易さ・リーダー権限の大きさの3つから構成される状況についての尺度と合わせて比較を行ったところ、環境がリーダーにとって非常に好ましい場合と非常に好ましくない場合には課題遂行型のリーダーが、やや好ましい場合、中間的な場合、やや好ましくない場合には配慮型のリーダーが、高い業績を上げていると主張した。
 状況即応理論には、他にもSituational Leadership Theory(Hersey and Blanchard, 1993)やoptimal decision making(Vroom and Yetton, 1973)などが知られている。前者ではメンバーのやる気・能力・自信などが高い場合には配慮型、低い場合には課題遂行型のリーダーが望ましいことが述べられており、後者では課題ごとの状況を分類し、それぞれの場合での最適な意思決定の処方箋が示されている。ただ、いずれの理論についても実証データに乏しく、特にFiedlerの理論に対しては批判も多い。