需要の充足と企業の存続 石井食品

石井食品株式会社について。
国領氏の授業でケースとして取り上げられる予定なので二言三言。

「じゃんけんぽん!ミートボールぽん!いっしいのお弁当クン、ミ〜トボ〜ル♪」
というCMソングを聞いたことがある人も多いと思いますが、
あの石井食品です。
http://www.ishiifood.co.jp/が公式サイト。

全ての商品のアレルゲンを詳細にアップしていたり、
http://open.ishiifood.co.jp/product/index.html原材料に使用する野菜の農薬残存検査の実施状況
アレルギー表示が義務付けられている原材料を含まない商品検索
携帯で、品質保証番号をサイトで照合とか、
http://open.ishiifood.co.jp/index.html食の安全に対するこだわりを実践しているみたいです。
1997年から「おいしさ3大原則; 無添加調理、源泉素材、品質保証番号」を掲げ、
取引企業の再編や生産ラインの刷新と並行して顧客への情報開示を推進。

石井食品株式会社は取引先にも無添加であること、及び、それを保証するための情報開示を求めた。しかし交渉の過程で、無添加には対応できない、企業秘密だから情報公開はできないといった理由で、サプライヤーは約半分に減った。

(慶応義塾大学大学院のケース「石井食品株式会社」より)

といった徹底ぶり。

自分個人としては、こういう企業方針には大賛成だし、
石井食品を見倣って、安全な食品を提供する会社がもっと増えてほしいと願っているのだけど、どうも儲かっておらず。。。
やばいのではないですか、と。

年度 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002
売上(億円) 169 174 166 167 164 148 138 124 128
経常利益(百万円) 762 572 702 372 496 366 29 -15 -96

東証2部のデータ http://www.tse.or.jp/cgi-bin/listed/tser002?CODE=2894&STYPE=1&CTYPE=0

今更言うまでもないのですが、
企業にとって利益はとても大切。(ってあたりまえか(笑))
利益がないと当然、事業を存続させることができず、
存続させられないとしたら、どれ程崇高な理念を掲げて活動していようとも、
そもそもそんな活動も一切できなくなってしまう。
せっかく理念に共鳴して集まった人材も散逸してしまうし、
蓄積されたノウハウもなくなる。

例えば携帯が出始めたころのCMなどを思い出せば分かる通り、
確かに、企業が消費者の意識に働きかけて、潜在的なニーズを掘り起こすのは、
新しい商品やサービスが世の中にでる時はよくある事だと思います
(いわゆるテクノロジープッシュ型のプロモーションの時)。
でも、基本的には企業は市場にあるニーズを満たしてあげて、
自社が付加した価値の対価を頂戴することで存在していることに変わりはないでしょう。

石井食品が安全性という観点から消費者の先を行く気概を持っているのは
大変素晴らしいことだと思いますが、
エコノミクス的に継続可能な収益構造になっていないのは大問題で、
このままの理念で収益の目処を立てられないならば、
方針の変更が必要になると言わざるを得ないように思います。

部分的な上方統合や資材調達の合理化による購入・取引コスト削減に加え、
当面の収益を確保するためのプロセスコスト削減が上手くいけばいいなと思いつつ。
もちろん海外展開・販売チャンネルの開拓・遡求可能性に付帯する付加価値の訴求(ブランド化など)・
新規商品カテゴリへの進出(所謂"中食"市場への進出など)・他業態(格付け・コンサル等)なども考えつつ。

ちなみにこれは業務用1.5倍ミートボール

"普通のサイズは物足りないという方に1.5倍のボリュームたっぷりサイズです。テリヤキ味です。"
(アレルゲン情報: 乳 卵 小麦 鶏肉 を含有)
http://www.ishiifood.co.jp/e-shoppy/www/list.cgi?id=0002で買えます。