紛争防止についての諸理論 〜ざっくり言えば〜

<リアリストの理論>
リアリスト = 国際社会はアナーキーであることを前提とし、国家を単一・合理的なアクターと考える。
リアリズム = 国家システムの構造を重視する。

1 勢力均衡理論 (Balance of Power)
・多極均衡
多くの国に力が分散してた方が均衡が保たれる。
また、支配的な大国の出現を阻止できる点、大国間の戦争を抑止できる点、戦争を限定的なものにできる点などが指摘されている。
しかし、例えばポーランドはロシア・プロシアオーストリアに三分割されて消失した過去があり、強国の論理にすぎないという批判がある。

・二極均衡
卓越した2極の軍事力が拮抗している場合に国際関係が最も安定すると考える。但し、二極双方が合理的であることが前提とされる。
ex冷戦期の核抑止

2 覇権安定論 Hegemonic Stability Theory
飛び抜けて強い国が平和に向けてリーダーシップをとることで酷使関係が安定するという考え方。飛び抜けて強い力を持っている国がリーダー役をとる。これは、超大国はそれ自体、秩序をもたらす公共財としての性質を備えており、他国はそれを犠牲にしてまで秩序を乱そうとは考えないため、安定的国際関係が形成されるとする。
ex Pax ロマーナ、ブルタニカ、アメリカーナ
但し、これが国家内の紛争抑止に効果を発揮できるのかについては未検証。<リベラリストの理論>
リベラリスト= 軍事力以外の要素が紛争抑止に効果的と考える。
リベラリズム= 国家レベルよりも個人レベルを重視する。

1 社会コミュニケーション理論 (交流理論) transaction theories (W.Deutchらが提唱)
非軍事的な交流の増大に伴い協調的関係が築かれ、問題の解決方法を武力に求めなくなる。
ex アメリカとカナダ、EEC諸国、アメリカとEUなど
ただ、交流ン増大の結果協調的関係が本当に築かれるのか、またそれが紛争防止にどれほど効果をもつのかは未検証。加えて、検証された例が西欧諸国ばかりであるため、理論の一般性について課題が残る。

2 機能主義理論 Functionalism (D.Mitranyらが提唱)
国を超えて人々のニーズをみたすような機能別の国際組織が作られ、協力体制が積み重ねられることで紛争の防止ができる。

3 新機能主義理論 Neo Functionalism (E.Haasらが提唱)
ある機能について協調が成立するとその関連分野にも協調体制が波及する。殆ど対立がない分野において統合が進められていくと政治的な対立部分が減少する。